鉄器副葬品からみた古墳時代中期の一考察

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甲斐・全長61,2mの帆立貝形前方後円墳「王塚古墳」の内部主体は合掌形竪穴式石室で、

副葬品には横矧板鋲留短甲(両胴開閉式)2・頸甲1・肩甲1・小札鋲留眉庇付冑1・剣身

形狭鋒鉄鉾3・鉄剣5・鑿1・鉄刀8・鉄鏃400・管玉2が出土している。

上総・円墳「矢那大原古墳」から鉄刀4・鉄槍2・鉄鏃20・馬具破片・環鈴4・ガラス

製小玉26・埴輪片などが出土した。

播磨・墳形不明「法花堂2号墳」の箱式石棺内から鉄刀2・鉄鏃30・短甲・頸甲・肩甲・

草摺?(一括)・衝角付冑1・耳飾り1・櫛4刀子1・?2・鉄?1が出土している。

播磨・径30mの円墳「宮山古墳」の内部主体は竪穴式石室が3基あり、第1・第2石室は

墳頂部近くに、第3石室は墳頂下1,9mの所に構築されていた。第一石室からは玉類・鉄刀

素環頭大刀を含む)・鉄剣片・?甲小札・鉄鏃・馬具飾金具片・鉄製農工具(?・鍬・斧

頭)・ミニチュア鉄斧・鎌・ひる鎌が出土している。第2石室からは玉類・金環・垂飾付

耳飾・帯金具・飾金具・き龍鏡・豊富な刀剣類(素環頭大刀及び金銀象嵌環頭大刀を含め

て約40振)・鉄鉾・鉄鏃・?甲小札・脛当?・頸甲・肩甲・籠手・馬具類(轡・辻金具・

壷鐙)・鉄製農工具・ミニチュア農工具・鉄?・須恵器(蓋付高杯)・土師器(壷)・砥石が

出土している。第3石室からは玉類・金製中空玉・銀製指環・垂飾付耳飾・鏡(画文帯神

獣鏡)・用途不明金銅製筒形品・横矧板鋲留衝角付冑・角板鋲留短甲・頸甲・肩甲・刀剣

類・鉄鏃・鉄鉾・轡・鉄製鍬先・鎌・刀子・手斧鍬・鉄?・須恵器(器台・壷・高杯・杯)・

土師器(壷・杯)が出土している。

備前全長約90mの前方後円墳「築山古墳」の後円部の家形石棺を収めた竪穴式石室から

王氏作神人画像鏡1・ガラス製勾玉1・管玉14・鉄刀1・鉄鉾1・鉄鏃・短甲・頸甲・馬具・

鉄斧頭・鍬先・土師器などが出土している。

備中30mほどの円墳「随庵古墳」・主体部は竪穴式石室と粘土床(木棺)の2基が

ある。石室棺内の遺体胸あたりから径9,8pの位至三公鏡1・ガラス製小玉206・紫水晶製

勾玉2、腹部に近くガラス製小玉と滑石製臼玉、頭部と思われる位置には滑石製有孔円板径

3,5pのもの6・滑石製臼玉75・同勾玉1・径1pの細い金の輪が2個連なったもの・その

近くから刀子7以上、遺骸の両側から3・刀2が出土した。石室内の棺外からは頭部側に尖根の

鉄鏃約150が其々形態の違う三群に分けられ立てかけられ、南東の壁に接し2・石突2

1・鉄斧・馬具が、西北壁側には1・鎌があった。棺外の壁際には棺の蓋と身を留めた

とみられる(かすがい)が点在したほか、平根の鉄鏃合計3も出土した。遺体の足の側

とみられる石室の端で木棺外に出来た隙間があり、ここに鋲留短甲(頸甲・肩甲)・鋲留眉

庇付冑のほか、?7・鑿3・錐9・鋸・ヤス10以上なども出土した。また鍛冶道具一式

即ち鉄鉗・鉄鎚・鉄床・上部を叩いた使用痕のある楔形の鏨のほか、砥石1があった。

馬具は木芯鉄張の輪鐙1対・轡・鉄製の鞍橋の縁金具らしいもの、楕円形の鉄座金の付い

たホ具で?(しおで)と思われるものもある。随庵古墳1965

備後全長41mの帆立貝式前方後円墳「三玉大塚古墳」の竪穴式石室から銅鏡2・筒形銅

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