鉄器副葬品からみた古墳時代中期の一考察

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肩甲・草摺)が出土し、棺上から土師器片が出土した。

第2主体部の組合式木棺内から捩文鏡1・勾玉(瑪瑙製1・緑色凝灰岩製3・溶結凝灰岩製

2)・管玉(緑色凝灰岩製38・溶結凝灰岩製1)・ガラス製小玉7・滑石製臼玉165・竪櫛9

鉄刀3・鉄鏃60・矢柄(漆膜のみ)・甲冑(角板革綴衝角付冑・角板革綴短甲)・刀子

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が出土し、棺内副室から鍬先4・鎌5・手鎌5・斧7・?2・刀子7・鑿2が出土した。

第3主体部の浅い土壙から鉄鏃41・矢柄(漆膜のみ)・鞘口金具1・鍬先2・鎌2・斧1

?1・刀子1が出土した。

丹波・全長140mの前方後円墳「雲部車塚古墳」の竪穴式石室の中の組合式長持形石棺は

未掘のため不明であるが、側壁と石棺の空間からは鉄刀・鉄剣・鉄鉾・鉄鏃・小札鋲留衝

角付冑・角板変形衝角付冑・横矧板革綴短甲・馬具類が出土している。副葬品の中では、

全長2,09m弱のすべて鉄製の鉾衝角部分が変形の冑が注目される。

越前・地域最大規模を誇る酒生古墳群の一支群、天神山古墳群の中心部に位置する、径約

50mの円墳「天神山7号墳」の墳頂中央部の粘土槨2基(割竹形木棺)の内、第1主体部

からは竪櫛45・平玉750・勾玉3・珠文鏡1・金製垂飾付耳飾1対・横矧板革綴短甲1・竪

矧板革綴衝角付冑1・頸甲1・肩甲1・草摺1鉄鉾3・鉄刀2・鉄剣8・鋲留胡?1・ピン

状鉄器1鉄鏃3束・鉄斧1・弓3・革盾1・鏃袋1が出土し、やや東に位置する第2主体

部からは獣形鏡1・勾玉3・管玉46・竪櫛3鉄刀17・鉄剣20・鉄鏃23・刀子5・?1

が出土した。

加賀・前方後円墳1・円墳18・方墳1・周溝墓1からなる和田山古墳群の内、径18,4m

円墳「2号墳」の粘土槨から変形神獣鏡・鈴付貝釧・武器・武具・鉄斧などの他、剣菱形

杏葉・f字形鏡板などの馬具、袴帯・玉類・櫛などの装身具類が、墳長63mの前方後円墳

「5号墳」の2基の粘土槨の内、南側A槨から変形神獣鏡・眉庇付冑・短甲・肩甲・鉄刀・

鉄剣・刀子・鉄鏃・鉄斧・鍬先・三輪玉・金鈴・銅鈴・櫛などが出土、北側B槨からは、

乳文鏡2・珠文鏡1短甲・槍・鉄刀・鉄剣・刀子・鉄鏃・鋤・鉄斧・鉄板・石突・櫛など

が出土している。

美濃「中八幡古墳」・全長43mの前方後円墳は道路工事で破壊され、主体部の詳細は不明

であるが副葬品は、鉄刀・鉄剣・鉄鉾・鉄鏃・角板鋲留短甲・木心鉄板張輪鐙・鉄製鞍

金具が知られる。古式の馬具が注目される。

遠江「各和金塚古墳」・全長66,4mの前方後円墳の円礫積みの竪穴式石室は盗掘にあって

いたが、盗掘時出土品を含め、鉄剣25・鉄刀10・鉄鉾2・鉄鏃83・刀子7・鉄鎌2・鉄斧

4・?1・短甲・石製模造品(刀子・斧)・勾玉2が出土した。

信濃・推定全長47,5mの前方後円墳「溝口の塚古墳」の竪穴式石室内から、鉄刀3・鉄剣

1・鉄鉾1・鉄鏃64・横矧板鋲留衝角付冑1角板鋲留短甲1・頸甲1・肩甲1・横矧板

鋲留短甲1・鹿角製刀装具類・玉類(琥珀製丸玉12・滑石製臼玉7)・盾と見られる漆皮膜

の良好な副葬品が出土した。人骨から被葬者は身長164p40歳前後の男性と推定される。

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