鉄器副葬品からみた古墳時代中期の一考察

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常陸・径37mの円墳「北椎尾天神塚古墳」の墳頂部に2基の粘土槨があり、東粘土槨内

から鉄剣6・鉄鉾1・刀子1・鉄鏃多数・滑石製模造品(刀子16・斧1)が出土、西粘土槨

内から衝角付角板革綴冑1・横矧板鋲留短甲1・鉄剣4・鉄刀2・鉄鉾1・短冊形鉄斧1

手斧形鉄斧1・鉄鏃32・玉類14が出土している。

阿波・8基の円墳からなる「恵解山(えげのやま)古墳群」の内、径6m「1号墳」

からは?製五獣鏡・鉄刀2・鉄剣2・鉄鏃・横矧板鋲留衝角付冑・角板鋲留短甲・頸甲・

肩甲が出土、径25m「2号墳」は2基の石棺があり東側石棺からは、玉類・竹製漆塗櫛

2・変形四神四獣鏡・鉄刀3・刀子・鎌・鉄斧2があり、老年女性が埋葬されていた。西側

石棺から玉類・琴柱形石製品4・竹製漆塗櫛2鉄剣3(鹿角製のもの1)・刀子が出土、副

室からは鉄刀2・鉄剣5・鉄鏃98角板革綴衝角付冑・角板革綴短甲・頸甲・肩甲・

3・鉄斧8が出土している。被葬者は老年男性である。

因幡・円墳と推定される「湯山6号墳」の(破壊を受けていて全容は不明だが)副葬品は

眉庇付冑1・短甲1・鉄刀3・鉄鏃17・櫛1と土師器器台(枕に転用)1が確認されている。

安芸「中小田古墳群」は10基の古墳からなるが、古墳群中では中心的な位置を占める

全長約20mの前方後円墳「1号墳」からは、椿井大塚山古墳その他と同笵関係がある三角

縁神獣鏡1面が出土している。径約15mの円墳「2号墳」の竪穴式石室内からは素文鏡1

の他、短甲1・衝角付冑1・鉄剣2・蛇行状鉄剣1・鉄刀5・有棘?形鉄器2・鉄鏃83

刀子1・鑿2が出土している。

筑前「宮司井手ノ上古墳」・径26mの円墳には、同一墓壙内に竪穴式石室(1号)、箱形

石棺(2号)とその北側に並行する石蓋土壙墓(3号)がある。1号の盗掘坑からは金銅

製鈴片・鉄刀・鉄斧などが出土、2号主体部からは成人男性の人骨と共に、大刀1・刀1

・長剣1・剣1・鉾1・刀子2・刀子把1・鉄鏃26・鉄柄手斧(無握広刃式)3・鉄斧2

1・鎌1・U字鋤先1角板革綴短甲1などが出土。

3号の主体部からは成人男性人骨と主に、刀・鉾・鎌(有茎)・鉄鏃・鉄?・碧玉製管玉が

出土している。

筑前「福間割畑遺跡1号墳」・径10mが推定される円墳から、小形?製鏡(四獣鏡)1

鉄?11・大刀3・刀1・鉄鏨3・鉄鑿1・?2・鉄斧1・鉄鏃1・毛抜形鉄器1・刀子2

不明鉄製品1・大形竪櫛9・小形竪櫛11が出土している。この内中央付近の小形?製鏡と

竪櫛が、南端付近には鉄?をはじめとする鍛冶工具類が集中して出土した。報告者は鉄?

については鍛冶工具類などと古墳に埋葬される事例から、威信財として評価している。

豊後・墳長不明の前方後円墳「下山古墳」の長持形石棺内から、?製変形神獣鏡1・管玉・

櫛・毛抜形鉄器・鉄刀1・鉄剣9・鉄鏃・刀子が、棺外北側からは鉄?30枚が出土した。

 

56期の古墳では、周防15mの円墳「天神山一号墳」の主体部竪穴式石室から、

方板革綴短甲1・鉄刀5・鉄剣2・鉄鏃43・鉄斧11・鎹(かすがい)10・鎌3・鍬3が出

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