鉄器副葬品からみた古墳時代中期の一考察

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また西槨中央部の盗掘孔内からも角板革綴短甲・同衝角付冑・頸甲・錣・刀剣・鉄鏃・

鉄製農工具等々の破片500点以上出土している。

山城「鳥居前古墳」全長約60mの帆立貝形古墳の後円部竪穴式石室から、画文帯環状乳

神獣鏡1・硬玉製勾玉3・碧玉製管玉27・巴形銅器8の他、多くの鉄剣・鉄刀・鉄鏃・

刀子・短甲・鉄斧・?が出土している。

紀伊の径28mの円墳・「岩内3号墳」・第1主体の割竹形木棺内から?製捩文鏡・滑石製勾

27・管玉15・ガラス製および滑石製小玉400以上・漆塗竹製竪櫛片35・巴形銅器・銅

3鉄釧2・鉄斧2・?2・鉄針5、また棺外からは鉄鏃(片刃箭式40・方頭斧箭式20)・

鉄刀・鉄槍・鉄剣4・鉄斧2・刀子9・?5・錐7・鉄鎌8・鉄鍬3・手鎌5・漆塗竪櫛・

ガラス製小玉が出土している。

尾張「白山藪古墳」は円墳か前方後円墳かはっきりしないが、内部主体は粘土槨で木棺

の両端部分に土師質板状の?を積み重ねた構造を持つ。この?壁は木棺の両端に密接して

いない。また木棺の北側にも?による副葬品室が設けられていた。木棺内に三角縁神獣鏡・

変形四獣鏡・内行花文鏡・勾玉・管玉・切子玉・棗玉・丸玉・子玉があり、副葬品室から

素環頭大刀・鉄刀・鉄剣・鉄鉾・鉄斧・鉄鏃が出土している。

45筑前・「池の上6号墳」・径88,8mの円形周溝墓の木棺内から金耳環・武器・

農工具・鍛冶工具(鋏・柄付き鏨)、棺外から馬具類(銜金具・鍍金鞍金具)、また墳丘裾

から朝鮮半島南部産の陶質土器が出土している。これらの鍛冶工具馬具類はわが国最古

の部類に属する。『池の上墳墓群』 1979

45筑前・「鋤埼号墳」・全長62mの前方後円墳・後円部中央に初期の横穴式石室が

あり、箱式石棺・埴質棺・木棺を納めている。副室をもつ箱式石棺(一号棺)から四獣鏡1

珠文鏡1・銅釧2鉄剣2・鉄刀2・素環頭大刀1・蕨手刀子2・鉄鉾1・櫛1鉄針3・子1・?1
のほか、玉類が副葬されていた。埴質棺(二号棺)からは捩文鏡1・内行花文鏡1

素環頭大刀1・・鉄刀1・?1・鉄斧1・刀子1が検出され、箱式木棺(三号棺)からは四

獣鏡1長方板革綴短甲1・鉄斧1・鉄鎌1が、また羨道部からは双頭龍文鏡1が検出され

た。『鋤埼古墳』1984

45丹後・「ニゴレ古墳」・径1320mの円墳の割竹形木棺から鉄製甲冑1組(小札

革綴衝角付冑1・板綴1・頸甲1・肩甲1・三角板革綴短甲1鉄剣2・鉄鏃11が出土し

ている。『ニゴレ古墳 1988

5期の古墳では、山城「恵解山(いげのやま)古墳」全長120mの前方後円墳の前方部

中央の土壙内に副葬品専用の箱形木棺の痕跡が発見されたが、その副室の下層から150

の鉄刀・鉄剣、上層からは短剣・短刀の他、400鉄鏃が出土している。

山城・東西22m、南北15mの長方形墳である「今林6号墳」の組合式木棺から、内行花

文鏡1・凝灰岩製勾玉4・凝灰岩製管玉7以上・凝灰岩製垂飾1・ガラス製平玉1・ガラス

製子玉・竪櫛20余・鉄刀2・鉄剣2・鉄鏃14・鉄鉾1・長方板革綴短甲1・鉄鎌1・鉄斧2

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