鉄器副葬品からみた古墳時代中期の一考察

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6期「市尾今田古墳群」は2基の古墳が立地するが、径22mの円墳「市尾今田一号墳」

の割竹式木棺の棺内南端からは、ガラス玉250個以上からなる頸飾が、棺の南小口からは

角板革綴短甲1、北小口からは三角板鋲留短甲1領・衝角付小札鋲留冑1領・角板

革綴短甲片・頸甲2領・肩甲・鉄鏃160以上・鉄・鉄斧・鉄製手斧・?・漆塗竪櫛2

硬玉製勾玉1、さらに棺外の東辺で塗盾2面・コ字状縁金具が出土している。また棺上

副葬品に漆塗柄付鉄槍・鉄鉾2・鉄剣・鉤状鉄器が出土している。

「新沢千塚古墳群」4から造営されるが、その大半は69にかけて営まれた、狭義

の古墳群で346基からなる古墳群である。

古墳群の南端に位置する、最も遡る4の前方後円墳500号墳」の後円部に主・副槨が、

くびれ部および前方部に其々粘土槨1基が築かれていた。主槨は殆ど破壊されていたが、

玉類・鍬形石・琴柱形石製品が」出土し、盗掘を免れたからは銅鏡5・筒形銅器5

銅釧1各種の鉄製農工具・石製品・方形板革綴短甲が出土している。

長辺26mの長方形墳丘の6期「新沢千塚126号墳」からは、鏡1直刀3・青銅製熨斗1

漆盤3・ガラス碗1・ガラス皿1・金製方形板1・金製螺旋状垂飾2・珥?状ガラス棒2

金製垂飾付耳飾り2・歩揺382・金製腕輪1・銀製腕輪2・金製螺旋状指輪3・銀製螺旋状

指輪2・金製指輪2・銀製指輪1・翡翠勾玉4・滑石製勾玉1・雁木玉2・ガラス製玉(金箔

入)1・ガラス製丸玉(緑青色)8・ガラス製小玉(濃紺色)649・ガラス製栗玉321・滑石

製臼玉345・金製丸(空)玉2・銀製丸(空)玉30・袴帯1・土師器(壷)1・円筒埴輪片

2が出土していて古墳群中質・量・多様さにおいて最も著名であるが、鉄製品は少ない

耳飾りは新羅・伽耶系であり、金製方形板は百済系であろう。

全長28mの前方後方墳・木棺直葬109号墳」からの副葬品は、鏡3・垂飾付耳飾り2

小玉300・三環鈴1・双孔円板1鉄製直刀6・鉄剣2・鉄鏃112・短甲1・?甲1・鉄鉾1

鉄槍1・?2・円筒埴輪が出土している。

23,1m20mの方墳・木棺直葬112号墳」からは、臼玉18直刀2・刀子4・鉄鏃51

1・?1・鎌1・鎹2・剣3・馬具(轡・鏡板一対・面繋一具・輪鐙)・須恵器(坏身5

高坏3・壷2・はそう1・短頸壷2・提瓶1・器台1)。

16,2m15,7mの円墳・木棺直葬139号墳」からは、直刀2・剣2・刀子4・鉄鏃83

短甲(肩・鎧付)1・眉庇付冑1・釜8・斧6・鑿9・鍬先9・?5・錐3・円筒埴輪・家形

埴輪が出土している。  伊達宗泰新沢千塚古墳群 1981

6〜7期の「南山古墳群」は5基の円墳で構成されているが、その内「南山四号墳」から

陶質土器と鉄?などの鉄製品が出土している。

7期「市尾墓山古墳」・全長66mの前方後円墳・大和の代表的な横穴式石室墳で、片袖

型の横穴式石室内に刳抜式石棺を置く。石室内は全面的に攪乱を受けていたが、水晶玉3

銀製空玉6・ガラス製小玉513・同飾玉23・鹿装具を含む鉄製片若干・刀の飾金具1・刀子

若干・刻文鉄器片5・尖頭鉄器1・弓金具1・鉄鏃200・鉄地金銅張胡?(やなぐい)

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