鉄器副葬品からみた古墳時代中期の一考察

NO 11


大和で佐紀盾列古墳群から外れた地域では、5期の径約40mの円墳「三陵墓西塚古墳」

墳頂中央部の粘土槨は盗掘を受けていたが、棺内から琴柱形石製品8・臼玉・管玉・

竪櫛と共に鉄剣6・鉄刀9・鉄鉾1・鉄鏃が出土。その後の発掘で第2主体部が検出され、

棺内から剣1・鉄鏃8・滑石製臼玉108・竪櫛88が出土し、棺の上では漆塗り盾の痕跡が

検出され、さらに棺外から1・刀子2・鑿1・鎌1等の鉄製品が出土している。

6の全長約90mの前方後円墳「三陵墓東塚古墳」の後円部墳頂下約2,42mの粘土槨中に

朱彩の木棺が一部残存していたらしい。盗掘を受けていたが副葬品として鏡2・硬玉製勾玉

40以上・瑪瑙製勾玉2・滑石製小勾玉と臼玉多数・碧玉製幣形品(琴柱形石製品?)12

石製品多数・刀剣類3束(1束約30本)・鉄鉾・鉄鏃多数・工具類と思われる鉄製品

多数出土したと言う。

5期の全長238mの大型前方後円墳「室大墓(宮山)古墳」後円部中央の竪穴式石室内の

組合式長持形石棺から三角縁神獣鏡片・碧玉製勾玉2・硬玉製勾玉3・翡翠製棗玉1・滑石

製管玉623琴柱形石製品2滑石製模造品(刀子形15・斧形1・杵形1・変形刀子形1)・

同棒状石製品2・同筒型石製品1・異形石製品1・板状石製品1鉄剣7・鉄刀1・鉄小刀3

角板革綴短甲片1領分・銅器片1・土師器片若干が出土。後円部には本主体部に平行して

さらに1基の同様の施設が存在すると推定されている。前方部からは木片・絵模様神獣鏡2

三角縁神獣鏡1・獣首鏡1を含む鏡11面・滑石製勾玉29・管玉7以上・棗玉1・玻璃製

小玉約100・刀子形石製品1などの多数の遺物が出土したと伝えられている。

6期の径15mの円墳「円照寺墓山一号墳」には3基の小石室があり、石室内出土の遺物に

は、錣・小札・鉄鏃・骨片・土器類などがあり、石室外からは方格規矩四神2・?製三

角縁神獣鏡1・変形四獣鏡1三角板鋲留短甲・横矧板鋲留短甲・竪矧細板鋲留衝角付冑・

同眉庇付冑・横矧板鋲留式衝角付冑・同眉庇付冑・角板革綴短甲などの鏡や多量の甲冑

類及び武器・馬具などが出土した。

6期の一辺27,430,3mの方墳「五条猫塚古墳」の竪穴式石室内から埴製枕1・珠文鏡1

ガラス製小玉3鹿角装刀子2・鉄鉾4・?1・鉄鏃257・四方白地鉄地金銅装竪矧細板鋲

留眉庇付冑
1・鉄地金銅装鋲留眉庇付冑1・同破片若干・
角板革綴短甲2以上・?甲1

鉄地金銅装頸甲1・同破片2・篠籠手1・不明鉄製品1・鉄斧1が、石室北東部からは金銅

龍文透彫?帯金具7以上・金銅製三葉形文透彫?帯金具3ホ具1・鉈尾2・環頭剣1・鹿

角装刀子3・鉄鏃467・金銅金具若干・四方白地鉄地金銅装蒙古鉢形小札鋲留眉庇付冑1

?甲2以上・篠籠手1・鉄斧5・鉄手鎌2・鎌1・鑿3以上・大型鏨6以上・小形鏨2・?

4以上・鉗2・鎚頭3・?1・砥石6箝形鉄製品2が出土した。蒙古鉢形眉庇付冑鍛冶

工具の出土は注意される。6期の一辺23mの方墳「高山一号墳」の墳丘中央部の墓壙内の

割竹形木棺及び棺上からは、内行花文鏡1・変形方格規矩鏡1・十一乳文鏡1・勾玉2

管玉16・小玉1・ガラス玉約120角板革綴短甲2・鉄?7・鉄刀3・鉄剣4・鉄刀子4

鉄鏃約60・鉄斧3・鉄鎌5・鉄?1・鉄鑿1・胡?1が出土している。

11


次ページへ