鉄器副葬品からみた古墳時代中期の一考察

NO 8


に獣形鏡片2・装飾品として緑色凝灰岩製管玉4・滑石製臼玉510・武器類に銅鏃7鉄鏃

26・鉄剣片10・鉄刀片4・鉄鉾片7・武具は長方板革綴短甲片が1領分、農工具は鋤先2

鉄鎌2・工具は鉄斧5・刀子15・?16・鉄鑿2がある。

4期備前・「金蔵山古墳」・全長165mの前方後円墳の主体部は2度の盗掘を受けている

が、中央石室の東端に連続して小石室があり、多量の鉄製品が出土した。また南側にも盗

掘を受けた竪穴式石室がある。中央石室内で残存していた遺物は、碧玉製管玉15・同鍬形

石片若干・硬玉製棗玉1・筒形銅器1短甲片・鉄器片で、小石室(副室)には盒と呼ばれ

る土製容器四個があり、その中に総数250点余の鉄製の武器・漁具・農具・工具その他が

入っていた。第1盒子には鑿・鋸・小刀子・斧・手斧・鋳造鉄斧・銛・鎌・二又鉾・筒形

銅器・碧玉釧形品半欠、第2盒子には鑿各種・錐・?・手斧。第3盒子には錐各種、第4

盒子には手斧・鎌・手鎌・鍬先・針。盒子外からは、鉄鏃・銛・ヤス・釣針・刀子・竹櫛

など多数が出土した。南石室からは変形二神二獣鏡1・碧玉製管玉大小35・琥珀製丸玉9

滑石製ながらT字頭の勾玉・長さ2,11,6pのものが、34個と38個の二群に分かれて接

近して出土。他に荒らされた床面から、全て残存ながら鉄器として剣・刀・鑿・?・針・

が、またかなりの量の短甲片が出土している。『図説西日本古墳総覧 1991

4期備前・「神宮寺山古墳」・全長約150mの前方後円墳の後円部頂の竪穴式石槨の蓋石

は露出しているが、副葬品だけをおさめた小竪穴式石室が知られ、1961年に乱掘されたが

20以上・鎌20以上・鉈状鎌5以上・手鎌13以上・鋸1・?5以上・鑿5以上・錐3

以上・鉄刀鉄剣25以上という多量の鉄製品が出土した。『吉備の古墳 2000

4期筑前・「老司古墳」・全長90mの前方後円墳には、後円部に3基、前方部に1基の

わが国における横穴式石室の初現的なものとして注目される、竪穴系横口式石室がある。

1号石室は後の追葬の可能性があるが、石室内から方格規矩鏡1鍬・鋤先1・手鎌1

曲刃鎌1・鉄斧3・?4・茎刀子21・蕨手刀子13・砥石1・鉄刀3・鉄剣3・鉄鏃70以上

碧玉製勾玉23・碧玉製管玉47・小玉・櫛1・器台形土器1が、石室外からは2・櫛1

出土した。2号石室内からは男性人骨2体分の他、変形文鏡1鉄剣3・鉄鏃61以上・三

角板革綴短甲1・馬具1・その他1があった。3号石室は主体と思われるが、石室内から

方格規矩四神鏡1・方格規矩鏡1・内行花文鏡1・三角縁四神四獣鏡1・?製内行花文鏡2

?製捩文鏡1・?製方格規矩鏡1など計8面・鍬・鋤先4・U字形鍬・鋤先1・直刃鎌3

鉄斧
11・?11・鑿6・鋸2・茎刀子19・蕨手刀子8・鹿角把3・砥石1鉄刀6以上・

鉄剣6以上・鉄鉾4・鉄鏃104甲冑1・馬具片・その他26硬玉製勾玉7・碧玉製管玉

125・ガラス製管玉1・硬玉製棗玉1・小玉1・金環2・盤形土器1・土製枕片1が出土し

た。前方部頂にある4号石室からは男性人骨2体分・性別不明上腕骨1鉄斧1・?1

茎刀子2・手鎌1・直刃鎌1・鉄剣3・鉄鉾1・鉄鏃12・その他1・滑石製勾玉42・櫛3

器台形土器1が出土した。尚、この他出土石室不明の鉄剣3以上・鉄鏃14がある。

竪穴系横口式石室や馬具はわが国最古のものである。『老司古墳 1989

8


次ページへ