鉄器副葬品からみた古墳時代中期の一考察

NO 7


甲斐・「大丸山古墳」は甲斐「銚子塚古墳」と同時期と思われる。全長99mの前方後円墳

の後円部に、竪穴式石室を上部に、組合せ石棺状のものを下部に重ねた二重構造を持つが、

上部の竪穴式石室状遺構から鉄刀・鉄剣・刀子・鉄鏃・鉄斧・手斧・鑿・鏨・鋸・短甲・

?が出土。下部の石棺状遺構から遺骸2体分・石枕・玉類・三角縁神獣鏡1面を含む3

の銅鏡が出土したと言う。

美濃・「龍門寺古墳」・径17mの円墳、割竹形木棺棺内から三角縁神獣鏡1面を含む計3

面の銅鏡・勾玉・棗玉・管玉・ガラス製丸玉・小玉・滑石製臼玉・石釧・櫛が、棺外から

横矧板革綴短甲・頸鎧・肩鎧・鉄刀・鉄鏃・鉄斧・鎌・?・鑿・刀子・錐・針・砥石が

出土している。

美濃・「長塚古墳」・全長約81mの前方後円墳の後円部にある2基の粘土槨の内、第1

体の東棺の割竹形木棺と推定される棺内から三角縁神獣鏡3・鍬形石3・勾玉2・管玉48

玻璃製小玉・素環頭鉄刀1を含む鉄刀3が、棺外から鉄刀5・鉄斧4・銅鏃14が出土して

いる。第2主体の西棺は箱形木棺と推定され、棺内から?製内行花文鏡1・?製三角縁神獣

2・石釧76・碧玉製盒子1組・石杵2・勾玉2・管玉145鉄刀2・玻璃製小玉が出土。

武蔵・「白山古墳」・全長87mの前方後円墳の後円部木炭槨から三角縁神獣鏡1面を含む2

面の銅鏡の他、鉄刀・鉄剣・刀子・鉄鏃・鉄斧・?・鎌・鑿・錐・楔形鉄器・ガラス製小

玉が出土。他に並んで2つの粘土槨がある。

武蔵・「野毛大塚古墳」・全長82mの造出しをもつ帆立貝形で4基の埋葬主体をもつ。

第1主体(粘土槨)から内行花文鏡1直刀12・素環頭大刀1鉄剣4鉄鏃40・三角板

革綴衝角付冑1・長方板革綴短甲1・肩甲1対・頸甲1・錣・靫・盾手鎌1・刀子2

銅釧1・勾玉5・管玉29・丸玉2・ガラス小玉54・臼玉2461以上・石製模造品19〔刀子

11・直刃鎌2・斧3・手斧2・勾玉1〕・竪櫛40以上・合子1が出土している。

第2主体(石棺)からは直刀6鉄剣3鉄鏃・衝角付冑・三角板革綴短甲1・勾玉2

管玉37・石製模造品250(刀子232・直刃鎌1・斧1・履1対・槽1・案1・坩2・杯3

管玉5)が出土している。

近江・「真野古墳」・径約20mの円墳、墳丘中央部の割竹形木棺内から全国的にも殆ど類例

のない、埴製舟形容器・埴製樋形容器・鏡1面・瑪瑙製勾玉・緑色凝灰岩製勾玉・管玉・

臼玉などの玉類98点が副葬されており、埴製舟形容器(長さ87,2p、幅26,5p、高さ12~14

p)には、衝角付冑1・ミニチュア短甲1・鉄刀7・鉄剣3・蕨手刀子9・刀子1・滑石製琴

柱形石製品1・滑石製管玉4が納められていた。埴製樋形容器(長さ90,2p、幅13,4p

高さ約6p)にも鉄斧1・鉄鎌1・鉄鍬先1が、付近から小形鉄斧1・鉄鎌1・鉄刀1・鉄

1・鉄鍬先1が出土している。

阿波・「大代古墳」・全長54mの前方後円墳で、後円部中央の竪穴式石室内の刳抜式舟形石

棺は盗掘を受け殆どの副葬品は原位置から移動しているが、石棺内には滑石製臼球28

緑色凝灰岩製管玉1が残存、棺外に鉄剣1が出土している。原位置から移動している遺物

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