鉄器副葬品からみた古墳時代中期の一考察

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備前・「備前車塚古墳」・主軸長48m余の前方後方形墳・後方部竪穴式石室から、内行花文

1・画文帯神獣鏡1・三角縁神獣鏡11鉄刀1・鉄剣1・鉄鉾(槍?)1・鉄鏃7・鉄斧1

短冊形鉄斧1が、再調査の結果石室内から鉄鏃・鉄斧・鉄刀・鉄棒残片・?・靫などが採

取された。(注;鉄?又は?は やりがんな を意味する)

讃岐・「奥3号墳」・全長30mの前方後円墳・後円部竪穴式石室から三角縁神獣鏡のほか

鉄剣・鉄斧・鉄鏃が、組合式石棺からは成人女性とされる人骨と鉄斧・?が出土した。

豊前・「石塚山古墳」・復元全長約120mの前方後円墳・1796年に発見された後円部竪穴式

石室から14面の銅鏡の他、鉄剣・鉄鉾・鉄鏃などが出土されたと伝えられている。

現存するものは三角縁四神四獣鏡3・三角縁獣文帯三神三獣鏡3・三角縁六神四獣鏡1

素環頭大刀・銅鏃がある。1987年の石室再調査で中国製細線式獣帯鏡片の他、勾玉・管玉・

小札(冑?)・鉄鏃・土師器などが検出されている。

筑前・「神蔵古墳」・墳丘全長約40mの帆立貝形前方後円墳の後円部の竪穴式石室は盗掘に

よる破壊が著しいが、箱形木棺内から三角縁神獣鏡1鉄剣大小2・鉄斧・鉄鍬各1が検出

された。石室攪乱土中より鉄剣1が検出されている。『筑前国続風土記』付録に鐔と鏃が出土

したとあることから、本来は多くの副葬品を有していたと思われる。

筑前・「原口古墳」・径不明の円墳、三角縁神獣鏡3・管玉・小玉・鉄斧・鉄刀などが出土。

大和・「黒塚古墳」・全長130mの前方後円墳・後円部竪穴式石室の割竹形木棺内から、画

文帯神獣鏡1鉄刀1・鉄剣1・刀子1、棺外から三角縁神獣鏡33鉄刀・鉄剣・鉄槍25

以上・鉄鏃170以上・刀子状鉄製品1・鉄小札600以上・棒状鉄製品9・U字形鉄製品

1組・Y字形鉄製品2・鉄斧8・?・漆膜(盾?)・土師器などが出土している。

山城「寺戸大塚古墳」・全長約98mの前方後円墳の後円部石から三角縁神獣鏡2面・

碧玉製勾玉1・碧玉製石釧8・碧玉製管玉19の他、鉄剣4・鉄刀9~11・鉄斧4~5・鉄鎌4~5

刀子5、前方部石槨からは三角縁神獣鏡1面を含む計4面の銅鏡・碧玉製管玉9・碧玉製

琴柱形石製品1・碧玉製紡錘車形石製品1の他、鉄剣12・鉄刀5・鉄槍2・鉄鏃22以上・

鉄鎌2・鉄斧2・鉄?4以上・鉄刀子1・棒状鉄製品他が出土している。

近江・「雪野山古墳」・全長70mの前方後円墳・後円部竪穴式石室の舟形木棺内から、三角

縁神獣鏡3面を含む計5面の銅鏡、石製品として鍬形石1・琴柱形石製品1・紡錘車形石製

2、玉類として管玉1・ガラス玉2、鉄製農工漁具として2・?2・鑿1・刀子5以上        

針状品3・ヤス9~11以上、武器として1・銅鏃30鉄鏃10・矢柄(本矧15以上・末矧

17)・鉄刀2・鉄剣3、土器として壷形土器、漆塗り製品として半円形状の木製品・鉄製農

工具類東側の漆塗り製品1、木棺外から武具として小札革綴冑1・木製短甲1武器として

1・靫の背負い板1・銅鏃66・鉄鏃33・矢柄(本矧37以上・末矧7程度)・鉄剣2・鉄

3、漆塗り製品として鍵手文のある漆膜(推定 剣装具片)4片以上・棒状品(推定 槍

の長柄)3・竪櫛26・合子1・円錐形漆膜(推定 矢柄)6・菱形文様を持つ木製品1・革

製品1が出土している。

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