鉄器副葬品からみた古墳時代中期の一考察
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1章 多量な鉄器を副葬する5期以前の古墳 (特記なき限り[註 4]より) 弥生終末期とされる丹波・「黒田墳丘墓」・全長約52mの前方後円形墳丘墓で2基の埋葬 讃岐・「円養寺C墳丘墓」・弥生時代末から古墳時代にかけての長さ約40mの前方後方墳状 の竪穴式石室の床面から?製の変形神獣鏡1・鉄剣1・管玉10・小玉3が検出された。 大和・「ホケノ山古墳」・墳丘墓と言うより古墳と言える3世紀中頃と考えられる推定全長 約80mの前方後円墳・後円部中央に掘り込まれた墓壙内の「石囲い木槨」内のコウヤマキ 製の舟形木棺内から画文帯同向式神獣鏡1・刀剣類5、木槨内からは半肉彫り神獣表現の鏡 片、内向花文鏡片など23点におよぶ銅鏡片(これらは破砕されたものと思われる)・銅鏃 38点以上・鉄鏃75点以上・素環頭大刀1・鉄刀1・鉄剣6以上・?形鉄製品1・?2・鑿 2以上・「ヘ」の字形鉄製品18以上・土師器多数が出土している。『ホケノ山古墳調査概報』 槨で舟形状刳抜式木棺と思われる棺内から、重圏文鏡(面径7,3p)1・鉄斧1・鉄鏨1・ 鑿3以上・鉄剣?1・鉄鏃1以上・碧玉製管玉1・ガラス小玉13、棺外南壁沿いで鉄剣1 が出土している。また本来は竪穴式石槨内に副葬されていたと思われる3面分の三角縁神 獣鏡が出土している。 4世紀前半、即ち1期・2期で目立つ古墳としては、山城・「椿井大塚山古墳」・全長160m の前方後円墳・後円部竪穴式石槨からは、内行花文鏡2・画文帯対置式神獣鏡1・方格規矩 四神鏡1・三角縁神獣鏡32以上・鉄剣10以上・鉄刀7以上(うち素環頭大刀1)・鉄槍7・ 鉄石突1・鉄鏃200以上・銅鏃16以上・花弁形装飾付鉄製品(冠?)1・小札革綴冑1・ 竪矧板状鉄製品・等の武器・武具類、鉄鎌3・鉄斧10・刀子17・削刀子7・?7以上・ 錐8以上・鑿1以上・鉄弓形工具(用途不明)等の工具類、魚叉12・釣針1等漁具が出土 している。 尾張・「東之宮古墳」・全長78mの前方後方墳からは三角縁神獣鏡4面を含む計11面の 銅鏡、石製品として車輪石1・石釧3・鍬形石1・合子2・管玉230・翡翠勾玉3の他、 鉄剣1・鉄刀7・鉄槍20・鉄斧6・針3の鉄製品が報告されている。 播磨・「権現山51号墳」・全長42,7mの前方後方形墳・後方部竪穴式石室の割竹形木棺内 からの副葬品は、北・中央・南の3群に分かれて置かれていた。北群からは銅鏃4・鉄槍3・ 鉄鏃7・鉄斧3・鑿状鉄器2・鉄?2・石突1・鉄鎌1・鉄鋸1などの武器・工具類が埋葬 され、中央群からは、三角縁神獣鏡5・木製枕1・紡錘車形貝製品1・ガラス小玉220・ 鉄剣1・鉄槍1・銅鏃1のほか遺骨類が、南群からは砥石1・鑿状鉄器1が出土している。 墳丘上からは都月形の特殊器台形埴輪と特殊壷形埴輪が出土している。 3
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